【解説】
秋も深まって使われなくなった下り簗が、風雨にさらされたり押し流されたりして崩れてしまった状態をいう。物錆びた侘びしい光景である。
【例句】
帰り来る魚のすみかや崩れ簗
丈草「韻塞」
もの言はでつくろうて去ぬくづれ簗
蕪村「落日庵句集」
獺の月に遊ぶや崩れ簗
蕪村「夜半叟句集」
川添ひや雨の崩れ家くづれ簗
一茶「八番日記」
ほつれ簗ピーピーと鳴る川瀬かな
大須賀乙字「続春夏秋冬」
米をつく舟もすさまじ崩れ簗
河東碧梧桐「俳句三代集」
とめどなく崩るる簗や三日の月
前田普羅「普羅句集」
簗崩す夜々の水勢に三日の月
前田普羅「飛騨紬」