独活(うど) 晩春
【子季語】
芽独活/山独活/もやし独活/独活掘る
【解説】
ウコギ科に属する多年草で山野に自生。葉は大型の羽状で夏の終りから秋にかけて球状の白い小花をつけ、高さは二メートル近くにもなる。栽培のものは土や籾殻などでおおい肥料を与えて作られる。春、若い茎を食用とし吸い物を始めとして、酢の物、和え物、糠漬、味噌漬などと用途は広い。何といっても自生の独活の香気と歯ざわりにかなわない。
【科学的見解】
独活(ウド)は、北海道から九州の山野に分布する。日本の代表的な山菜であり、畑などで栽培もされている。近縁種としては、ミヤマウドが存在するが、分布は関東及び中部地方の山奥に限られる。(藤吉正明記)
【例句】
雪間より薄紫の芽独活かな
芭蕉「翁草」
せはしなき身は痩せにけり作りうど
嵐雪「或時集」
独活蕨何もおとさず旅の殿
去来「名月集」
尋ねばや古葉が下の独活の萌え
杉風「俳諧曾我」
うどの香や岨に下駄履く山の児
白雄「白雄句集」
うどの香や詞少なのをとこ文字
大江丸「俳懺悔」
うどの香や鶏の啼きたつ朝月夜
祠冠「花見二郎」
独活膾余酔の人に勧めけり
菅原師竹「続春夏秋冬」
独活昃りて俄かにさむし谷のさま
原石鼎「花影」
独活堀りの下り来て時刻をたづねけり
前田普羅「春寒浅間山」