茅花(つばな) 仲春
【子季語】
針茅、浅茅が花、茅原野、茅萱の花、ちばな、しらはぐさ、茅花ぬく
【解説】
イネ科の多年草。野原や川原などに広く群生する。春先槍のように細い鞘に花穂を包む。この若い花穂を茅花という。初夏この鞘をほどき銀色の美しい穂をなびかせる。
【科学的見解】
茅花は、千茅(チガヤ)の葉鞘から出る前の膨らんだ花穂をさす。チガヤは、在来の植物で、日本全国の日当たりの良い場所に普通に生育する。茅花の中の穂には、微かな甘みがあることから、昔から子供のおやつとして食べられてきた。(藤吉正明記)
【例句】
野の窪み水うちふくみ茅花生
白雄「白雄句集」
夜あらしや光偃す茅花原
暁台「暁台句集」
川しまやつばな乱れて日は斜め
闌更「半化坊発句集」
三日月のほのかに白し茅花の穂
正岡子規「寒山落木」
茅花さく岡にのぼれば風の吹く
村上鬼城「定本鬼城句集」
たはやすく昼月消えし茅花かな
芝不器男「不器男全句集」