片栗の花(かたくりのはな) 初春
【子季語】
かたかごの花、ぶんだいゆり、かたばなうばゆり、かたばな、はつゆり
【解説】
ゆり科の多年草で山地の樹陰などに多く自生する。早春地上に二葉を出してその間から長い花茎をのばし姫百合に似た鐘形で紅紫色の六弁花を一個下垂する。かたかごの花、うばゆりなどとも呼ばれ可憐な花である。
【科学的見解】
片栗(カタクリ)は、在来の植物であり、北海道から九州までの山野に群生する。近年は、全国的に個体数が減少している。地中の鱗茎から澱粉をとり、「かたくり粉」として食べられていたが、今では作物の澱粉が「かたくり粉」として使用されている。和名の由来は、古名の「かたかご」が「かたこゆり」になり、さらに転じて「かたくり」になったとされる。(藤吉正明記)
【例句】
日洽し片栗の葉に花に葉に
石井露月「露月句集」
かたかごの花や越後にひとり客
森澄雄「浮鷗」
片栗の花を咲かせて山しづか
長谷川櫂「蓬莱」