焼野(やけの) 初春
【子季語】
焼原/焼野原/末黒野/末黒
【解説】
芽吹きを促すため野焼きをして黒々と焦げた野原。いま炎の上が っている野原も指す。
【例句】
鳥の行く焼野のくまや風の末
猿雖「炭俵」
野とともにに焼る地蔵のしきみ哉
蕪村「蕪村句集」
しののめに小雨ふりだす焼野哉
蕪村「蕪村句集」
うしろより雨の追ひ来る焼野かな
大魯「蘆陰句選」
草に置く身も安からぬ焼野かな
樗良「題林集」
越えわびて淋しうなりし焼野かな
白雄「白雄句集」
二つ三つ石のするどき焼野哉
冬羽「文車」
火の絶えて鼠の走る焼野哉
長圃「続明鳥」
風あれて兎寒がる焼野哉
成美「杉柱」
焼けながら黒き実残る野の葎
正岡子規「新俳句」
雉の声あらはに悲し焼野原
正岡子規「寒山落木」
旧道や焼野の匂ひ笠の雨
夏目漱石「漱石全集」
昼ながら月かかりゐる焼野かな
原石鼎「花影」