銀杏黄葉(いちょうもみじ/いてふもみぢ )晩秋
【解説】
銀杏が色づくこと。晩秋の公園や街路をあざやかに彩る。日を浴びて黄落するさまは荘厳でさえある。
【科学的見解】
イチョウは、イチョウ科イチョウ属一種のみが知られており、古代より姿形が変化していないため、生きた化石として知られている。イチョウは中国より渡来し、日本では神社や公園、街路樹として植栽されている。イチョウは、落葉高木であるため、秋になると黄色に紅葉して葉を落とす。紅葉は、葉の中に含まれているクロロフィルを分解し、窒素成分の再吸収を行う過程で、黄色の色素成分であるキサントフィルや赤色の色素成分であるアントシアニン等が生み出され、葉の色が変化する現象である。紅葉は落葉植物の葉の栄養の再吸収というリサイクル過程で現れる現象である。(藤吉正明記)
【例句】
いてふ葉や止まる水も黄に照す
嘯山「葎亭句集」
北は黄にいてふぞ見ゆる大徳寺
召波「春泥句集」