鉄引草(かなびきそう/かなびきさう) 晩春
【解説】
日本各地から朝鮮、中国、シベリアと広く分布する。ビャクダン科の多年草。高さ十五センチ前後で、茎は細く線形の葉のつけねに米粒ほどの白い花(萼)をつける。近くの植物に寄生し根から養分を吸い取る。自らも葉緑素を持って光合成を行うため、半寄生植物とされる。荒地や山野、道ばたなどに生える。
【科学的見解】
カナビキソウは、ビャクダン科カナビキソウ属の多年草で、北海道から沖縄までの日当たりのよい草地に生育する。近縁種としてカマヤリソウが知られているが、本種は日本全国広く分布しているのに対し、カマヤリソウは北海道の高山に局所的に生育しており、両者は分布が異なる。本種を含めた日本のビャクダン科植物は半寄生性の生活をしており、自ら光合成をおこなうと同時に、他の植物から吸盤状の根を利用して養分を吸い取って生きている。他のビャクダン科半寄生植物としては、ツクバネやヤドリギ等が知られている。(藤吉正明記)