天南星の花(てんなんしょうのはな/てんなんしやうのはな) 晩春
【子季語】
山人参
【解説】
サトイモ科テンナンショウ属多年草の総称。代表的なものに蝮草や浦島草、ムサシアブミなどがあり、日本各地の山地の林に自生する。茎を伸ばしたその先に一枚から二枚の葉を広げ、春、茎とは別の偽茎を伸ばしたその頂点に仏炎苞に包まれた、蛇の頭のようなグロテスクな花をつける。
【科学的見解】
天南星は、サトイモ科テンナンショウ属の多年草で、日本には約五十種が自生している。テンナンショウ属の植物は、地中に球茎を持ち、その上部に小球を作る。長い茎は偽茎であり、多くは二枚の複葉の上に仏炎苞と呼ばれる筒型の花序を作る。その花冠の中には中心部に雄花と雌花群を形成する。このグループは、株が小さいうちは雄花だけを作り、大きく育つと雌花や両性花をつけ、性転換することが知られている。(藤吉正明記)