樟落葉(くすおちば) 初夏
【子季語】
楠落葉
【解説】
樟は、クスノキ科ニッケイ属の常緑高木で神社や公園などに植えられる。初夏、若葉が古い葉の上に開くと、それに取って代わられるように落葉する。
【科学的見解】
クスノキは、クスノキ科の常緑高木で、関東以西から九州までの海岸近くの山林内に生育している。本種は、巨木になる樹種でもあるため、天高く聳え立つ木が求められる神社等によく植栽されている。常緑性の樹木の葉は、一年以上の寿命を持つものが多いが、本種の葉の寿命は常緑樹の中では比較的短命で一年ほどである。春先新しい葉が展開してしばらくすると、入れ替わるように古い昨年の葉が落葉する。落葉樹同様に常緑樹も葉を落とす直前は、葉内の光合成色素クロロフィルを分解し、窒素分を体内に再吸収するため、紅葉として色の変化が生じる。常緑樹の落葉は一年を通しておきるが、春から初夏にかけてより落葉するものが多い。(藤吉正明記)