馬肥ゆ(うまこゆ) 三秋
【子季語】
秋の駒
【解説】
秋の好日のもと、馬がすこやかに肥えてたくましくなること。冬に備えて皮下脂肪を蓄えるのである。「天高く馬肥ゆ」の故事にもとづく。
【科学的見解】
ウマは、ウマ目(奇蹄目)ウマ科の哺乳類で、主に草を食べる草食動物である。運搬や農耕などを目的として大陸から古墳時代頃に導入されたそうである。その後、昔の面影を留めた日本在来馬が八つの地域で保存されているものの、多くのウマは明治以降に導入された西洋馬との交配が繰り返され形質が大きく変化してしまった。ウマは、農耕用や軍馬として大切な役割を果たしてきたが、現在では乗馬や競馬などの競技用や食用としての利用が行われている。
ウマは家畜ということから、その餌は牧草地などで生産されるか、もしくは輸入された栄養価の高い飼料が中心になっている。哺乳類の多くは餌が少なくなる冬前に栄養や脂肪を貯めこむ性質があり、家畜化されたウマも同様に野生の名残で秋に体重などが増加する傾向にある。(藤吉正明記)