山桜桃の実(ゆすらのみ) 仲夏
【子季語】
山桜桃/ゆすら
【解説】
バラ科の落葉低木。中国原産。春、白い五弁の花を咲かせ、六月頃一センチほどの実をつける。青々とした若葉の中の深紅に熟した実は甘酸っぱくおいしい。子供達が木をゆすって実を落とすことから「ゆすら」の名がある。
【科学的見解】
ゆすらの標準和名は、ユスラウメである。ユスラウメは、バラ科の落葉低木で、古い時代に中国から導入された植物である。近縁種としては、同じく中国から導入されたニワウメが知られている。ユスラウメの実は一センチほどで、赤色のものが主流であるが、稀に白色の実をつけるものが栽培されている。赤い果実にはアントシアニン等の赤色色素が含まれているが、その色素がなくなった個体のものが白色果実として知られている。(藤吉正明記)
【例句】
ゆすらの実麦わら籠にあまりけり
五十崎古郷「五十崎古郷句集」
くちすゝぐ古き井筒のゆすら梅
杉田久女「杉田久女句集」