野大根(のだいこん)晩春
【子季語】
細根大根/弘法大根/浜大根/野良大根
【解説】
栽培種の種子が飛んで野山に生える大根のこと。海辺に自生する ものは浜大根という。
【科学的見解】
ダイコンは、アブラナ科の野菜であるが、古い時代に日本に導入された後、現在では様々な品種が作出され、日本各地で栽培がおこなわれている。その栽培品種の種子が野に逸出して生育しているのがたまに見られる。ダイコンの花は、白花の四枚の花弁を持ち、その先端付近が桃色になることもある。各地の河川には、畑で栽培されていた野菜類の苗や種子が雨で流されてくる場合が多いが、畑から逸出したダイコンも河川敷などで春先開花している。それとは別に、古い時代に野生化したダイコンが海辺砂浜などに生育しているものが存在するが、それらはハマダイコンと呼ばれ、ダイコンとは別に取り扱われている。(藤吉正明記)
【例句】
野大根も花咲きにけり鳴く雲雀
一茶「文化句帖」