衣笠草(きぬがさそう/きぬがささう) 晩夏
【子季語】
花笠草
【解説】
ユリ科の多年草。亜高山の林中に咲く。直立した太い茎の上部に 八枚~十枚の葉を輪生させ、その中心に花茎を出し、直径六~七 センチの白い大きな花をひとつつける。雪がとける頃から咲きはじめる。花は白から淡紅色そして淡緑色へと変化する。大きく輪生する葉を衣笠に見立ててこの名がある。草丈は三十~八十センチ。
【科学的見解】
キヌガサソウは、本州特産の多年草であり、亜高山帯に分布する。果実は、球形で暗紫色に熟し、香りと甘みがあり食べられるとのことである。本州の亜高山帯は、主に標高2000m程度であり、その優占的な樹種はシラビソやコメツガなどである。本種は、それら針葉樹の樹林下及び林縁付近でひっそりと生育している。(藤吉正明記)