楮の花(こうぞのはな/かうぞのはな) 晩春
【子季語】
かぞの花/かずの花/こぞの木の花/かみの木の花
【解説】
楮はクワ科コウゾ属の落葉高木。本州、四国、九州の山地に自生し、高さは五メートルくらいになる。樹皮は硬く、和紙製造のために栽培もされる。雌雄同株。四月ころ葉と同時に花をつける。雌花は赤い球形、雌花の下につく雄花は球形の淡黄色。
【科学的見解】
コウゾは、クワ科の落葉木で、日本に野生化するカジノキと丘陵地林縁に自生するヒメコウゾが自然の中で交じり合って生まれた雑種とされている。カジノキに近い性質のものとヒメコウゾに近いものが存在するそうである。和紙の材料として活用されているものは、カジノキに近いものが利用されているとのことである。本種はあまり果実をつけない。一方、野山に自生するヒメコウゾは、若枝の葉腋ごとに花をつけ、雄花・雌花・複合果が存在する。(藤吉正明記)
【例句】
楮咲く花のゆかりや国栖の里
鳥波「新類題発句集」