野焼く(のやく) 初春
【子季語】
野焼、堤焼く、野火、草焼く
【解説】
春先に野原の枯草を焼くこと。草萌えをよくし害虫を駆除するため、山、畑、野、畦、芝などを焼く。その灰は肥料となる。
【来歴】
『花火草』(寛永13年、1636年)に所出。
【文学での言及】
おもしろき野をばな焼きそ古草に新草まじり生ひは生ふるがに 東歌『万葉集』
春日野は今日はな焼きそ若草のつまもこもれり我もこもれり よみ人しらず『古今集』
【例句】
野とともに焼る地蔵のしきみ哉
蕪村「落日庵」
野は焼きて雲に雪もつ月夜かな
青蘿「 青蘿発句集」
野辺焼くも見えて淋しや城の跡
正岡子規「子規句集」
野火今は月の光に衰ふる
日野草城「花氷」
ひとすじの水貫ける野焼かな
高田正子「玩具」