西行忌(さいぎょうき、さいぎやうき) 仲春
【子季語】
円位忌
【解説】
花を愛した歌人、西行法師の忌日。建久元年(一一九〇年)二月十六日。七十三歳。
【来歴】
『新季寄』(享和2年、1802年)に所出。
【実証的見解】
西行法師は、鳥羽上皇に仕えた北面の武士で俗名は佐藤義清(のりきよ)。二十三歳で出家する。「ねがはくは花のしたにて春死なんそのきさらぎの望月の頃」と詠んで、かねてから釈迦入滅の日に死ぬことを望んでいた。そのため、忌日は実際の忌日よりも一日早い旧暦の二月十五日とする。歌集に『山家集』がある。
【例句】
霞炷く富士を香炉や西行忌
素丸「素丸発句集」
西行忌我に出家の意(こころ)なし
松本たかし「松本たかし句集」
今日ばかり花も時雨よ西行忌
井上井月「井月句集」
奥山は雪ふかけれど西行忌
五十崎古郷「五十崎古郷句集」
きさらぎの雲は白しや西行忌
五十崎古郷「五十崎古郷句集」
木移りをしきりに鳩や西行忌
石田波郷「酒中花」
花あれば西行の日と思ふべし
角川源義「西行の日」
はるかより鷗の女(め)ごゑ西行忌
森澄雄「鯉素」
水のうへ暮れて明るし西行忌
長谷川櫂「古志」