鳥雲に入る(とりくもにいる) 仲春
【子季語】
雲に入る鳥、鳥雲に
【関連季語】
鳥帰る
【解説】
春に北方に帰る渡り鳥が、雲間はるかに見えなくなること。
【来歴】
『毛吹草』(正保2年、1645年)に所出。
【文学での言及】
心なき花こそ根にも帰るとも鳥さへなどか雲にいりけむ 前大納言資名『新後拾遺集』
【例句】
雲に鳥人間海に遊ぶ日ぞ
一茶「寛政句帖」
鳥雲に入りて松見る渚かな
白雄「白雄句集」
朝たつや鳥見かへれば雲に入
浪化「白扇集」
鳥雲に入る熊谷の堤かな
士郎「枇杷園句集」
少年の見遣(みや)るは少女鳥雲に
中村草田男「万緑」
鳥雲に身は老眼の読書生
松本たかし「松本たかし句集」
鳥雲に隠岐の駄菓子のなつかしき
加藤楸邨「雪後の天」
口つぐみ飛ぶものをみよ鳥雲に
森澄雄「游方」