水草生ふ(みくさおう、みくさおふ) 仲春
【子季語】
水草生い初む、
【解説】
藻草生ふ三月頃から池や沼などには色々な水草が生えてくる。だんだん水温が上がってくると藻や浮き草、又水底に根のある蓮なども成長を始める。よく見ないと気づかない光景だが春の訪れを感じる光景である。
【科学的見解】
水辺などの湿った場所もしくは水中に生育する植物を総称して水草というが、その生育タイプにより、湿地植物、抽出水植物、浮葉植物、浮遊植物、沈水植物に分かれる。春先、芽生えの早いものとしては、湿地植物のタデ科植物(ヤナギタデやミゾソバ)やキンポウゲ科植物(タガラシやケキツネノボタン)など、抽水植物のイネ科植物(ヨシやマコモ)などが挙げられる。(藤吉正明記)
【例句】
水草生ひぬ流れ去らしむこと勿れ
村上鬼城「定本鬼城句集」
ゆふぐれのしづかな雨や水草生ふ
日野草城「青芝」
釣竿のぴかりぴかりと水草生ふ
松本たかし「たかし句集」