風薫る(かぜかおる、かぜかをる)三夏
【子季語】
薫風、薫る風、風の香、南薫
【解説】
夏に吹きわたる風をほめたたえた季語であるが、新緑、若葉のころの風として使いたい季語でもある。語源は漢語の「薫風」で、それを訓読みして和語化したものである。
【例句】
風薫る羽織は襟もつくろはず
芭蕉「小文庫」
ありがたや雪をかをらす南谷
芭蕉「奥の細道」
風かをるこしの白根を国の花
芭蕉「柞原」
さゝ波や風の薫の相拍子
芭蕉「笈日記」
松杉をほめてや風のかをる音
芭蕉「笈日記」
帆をかふる鯛のさはきや薫る風
其角「五元集拾遺」
風薫れ風鈴の銘も小倉山
園女「菊の塵」
高紐にかくる兜や風薫る
蕪村「落日庵句集」
青のりに風こそ薫れとろろ汁
蕪村「新五子稿」
杉くらし五月雨山風かをる
暁台「佐渡日記」
風薫る暮や鞠場の茶の給仕
乙二「をのゝえ草稿」
薫風や蚕は吐く糸にまみれつつ
渡辺水巴「水巴句集」
空間を縦横に切り風薫る
長谷川櫂「初雁」