梅雨(つゆ) 仲夏
【子季語】
梅雨(ばいう)、黴雨、梅の雨、梅霖、青梅雨、荒梅雨、梅雨じめり、梅雨前線、梅雨時、ついり、五月曇
【関連季語】
五月雨、梅雨晴、梅雨雷、梅雨曇、空梅雨、迎へ梅雨、送り梅雨
【解説】
六月ごろ、ひと月にわたって降りつづく長雨。さみだれのこと。ちょうど梅の実の熟れるころなので梅雨ともいう。梅雨の季節をさすこともある。
【来歴】
『花火草』(寛永13年、1636年)に所出。
【実証的見解】
梅雨前線は、五月なかごろ、太平洋上で発生した高気圧が、洋上に張り出した大陸の高気圧とぶつかって発生し、太平洋高気圧の発達とともにしだいに押し上げられて、日本列島に近づく。六月中旬頃には日本列島に沿って横たわる形で停滞し、北海道と小笠原諸島を除く日本各地に大量の雨をもたらす。
【例句】
降る音や耳もすう成る梅の雨
芭蕉「続山の井」
折釘の笠に雫や梅雨の中
可幸「古選」
焚火してもてなされたる入梅哉
白雄「白雄句集」
梅雨晴れや蜩鳴くと書く日記
正岡子規「子規句集」
梅雨眠し安らかな死を思ひつゝ
高浜虚子「六百五十句」
樹も草もしづかにて梅雨はじまりぬ
日野草城「旦暮」
梅雨荒し泰山木もゆさゆさと
日野草城「旦暮」
抱く吾子も梅雨の重みといふべしや
飯田龍太「百戸の谿」
梅雨の傘たためば水の抜け落つる
長谷川櫂「天球」