滴り(したたり)三夏 季語と歳時記 【解説】 山の日陰の道などの岩や苔を細く糸のように伝い落ちる水をいう。山道へ分け入り、しだいに疲れを覚えた身にはそれは玉の如き水。思わず手に受けて頂いたりする。 【例句】 笠一つしたゝる山の中を行く 正岡子規「子規句集」 海の上に大滴りの岩懸くる 田村木国「山行」 滴りのはげしく幽けきところかな 日野草城「昨日の花」 絶壁の蔦を傳ひて滴りぬ 青木月斗 (同人) 岩襖どこよりとなく滴れる 長谷川櫂「初雁」