滝(たき)三夏
【子季語】
瀑布、飛瀑、滝壺、滝しぶき、滝風、滝の音、男滝、女滝、滝見、滝涼し、滝道、滝見茶屋
【解説】
年中滝はあるが涼気から夏の季語とされた。人工的に庭園などに作られたものを作り滝という。季語として認められたのは近代以降である。江戸期は別の季の詞を必要とした。
【例句】
奥や滝雲に涼しき谷の声
其角「新山家」
うら見せて涼しき瀧の心哉
芭蕉「宗祇戻」
酒のみに語らんかゝる瀧の花
芭蕉「笈の小文」
滝水の中やながるる蝉の声
惟然「草庵集」
山鳥の尾上に滝の女夫かな
几董「井華集」
神にませばまこと美はし那智の滝
高浜虚子「五百句」
滝をのぞく背をはなれゐる命かな
原石鼎「原石鼎全句集」
滝殿に人あるさまや灯一つ
内藤鳴雪「春夏秋冬」
たのしさとさびしさ隣る滝の音
飯田龍太「山の木」
羽衣のごとくに滝の吹かれをり
長谷川櫂「虚空」
瀧の影瀧におくれて落ちにけり
高田正子「花実」
夢に聴くいづこの山の瀧の音
高田正子「花実」