賀茂祭(かもまつり) 初夏
【子季語】
祭、北祭、葵祭、懸葵、加茂葵、双葉葵、葵鬘、諸鬘、御生祭
【解説】
五月十五日に行われる京都の上賀茂神社、下鴨神社の大祭。平安時代の宮中では祭といえばこのまつりだった。御所から参向する勅使らの冠を、葵桂で飾ったことから葵祭ともいい、石清水八幡宮の南祭に対し北祭ともいう。
【来歴】
『俳諧初学抄』(寛永18年、1641年)に所出。
【文学での言及】
『源氏物語』葵の巻では葵祭見物の場面での光源氏の正妻、葵の上と年上の愛人、六条御息所との確執が描かれている。
【例句】
加茂衆の御所に紛るる祭かな
召波「春泥発句集」
げに僧は木のはしところ諸かづら
蓼太「蓼太句集」
草の雨祭の車過ぎてのち
蕪村「蕪村句集」
たれこめて祭見る家や薫す
几董「井華集」
呉竹のよよにあふひの祭かな
樗良「我庵」
追ひ戻す坊主が手にも葵かな
太祗「太祗句選」
牛の嗅ぐ舎人が髪や葵草
蝶夢「草根発句集」
白髪にかけてもそよぐ葵かな
一茶「七番日記」