あやめ 仲夏
【子季語】
渓(あやめ)、花あやめ、白あやめ
【関連季語】
かきつばた、花菖蒲、菖蒲
【解説】
古来、菖蒲(あやめ)区別するために「花あやめ」と呼ばれてきた草。五、六月ころ、茎の先端に紫または白の花を咲かせる。花びらに網目模様をもち、乾いた草原などに咲く。
【来歴】
『滑稽雑談』(正徳3年、1713年)に所出。
【科学的見解】
あやめは、アヤメ科の多年草。在来種として日本各地の山地や草原に自生していたが、近年は急速に減少し、野生のものが絶滅してしまっている都道府県もある。園芸目的に畑や庭先などで全国的に栽培されている。五、六月ごろつるぎ状の葉の間から茎を伸ばし、紫や白の大花を咲かせる。他のアヤメ科の花同様、三枚の外花被片(外の花びら)は垂さがり、それよりも小さな内花被片(内の花びら)は直立する。外の花びらの付け根は黄色で網目模様を持つ。(藤吉正明記)
【例句】
花あやめ一夜にかれし求馬哉
芭蕉「蕉翁句集」
朝風に帷子軽し花あやめ
露沾「誹林一字幽蘭集」
あやめ草綾の小路の夜明かな
青蘿「青蘿発句集」
壁一重雨をへだてつ花あやめ
鬼貫「鬼貫句選」
あやめ生ひけり軒の鰯のされかうべ
芭蕉「江戸広小路」
片隅にあやめ咲きたる門田かな
正岡子規「子規全集」