花菖蒲(はなしょうぶ、はなしやうぶ) 仲夏
【子季語】
菖蒲園、菖蒲池、野花菖蒲、菖蒲見、菖蒲田、白菖蒲、黄菖蒲
【関連季語】
かきつばた、あやめ、菖蒲
【解説】
梅雨のころ、各地の菖蒲園などで大きくあでやかな紫や白の花を咲かせる水辺の草。水中や湿地で栽培されるが、陸でもよく育つ。剣状の直立する葉が菖蒲に似ていることから、端午の節句の菖蒲と混同されるが別物。
【来歴】
『増山の井』(寛文7年、1667年)に所出。
【科学的見解】
花菖蒲(ハナショウブ)は、アヤメ科の多年草。日本在来の野花菖蒲(ノハナショウブ)の園芸植物であり、多数の品種が作出されている。高さは八十センチくらいで、まっすぐに立った茎の頂点に、白や紫の花びらをつける。他のアヤメ科の花同様、三枚の外花被片(外の花びら)とそれよりも小さな三枚の内花被片(内の花びら)を持つが、アヤメやカキツバタとは違い、内花被片が比較的大きく、外側へそり曲るものが多い。外の花びらのつけ根から花びらの中央に掛けて淡黄色の斑紋があるのも、この花の特徴である。(藤吉正明記)
【例句】
花菖蒲津田の細江の便りかな
青蘿「青蘿発句集」
足首の埃たたいて花さうぶ
一茶「文化句帖」
万座より落せる水の花菖蒲
前田普羅「春寒浅間山」