餅花(もちばな) 新年
【子季語】
花餅、餅穂、餅手鞠、餅の花、餅木
【関連季語】
小正月、繭玉
【解説】
柳や水木などの枝に紅白の餅をちぎって付けたもの。豊作を祈り小正月に飾られる。
【来歴】
『俳諧初学抄』(寛永18年、1641年)に所出。
【実証的見解】
餅花は豊作の予祝行事として行われる。予祝とは、その年の豊作を前もってお祝いすること。豊作のお祝いをしてしまったのだから、本当に豊作にしてもらわないと困るということ。養蚕の盛んな地域では、餅花ではなく繭玉を飾って、繭の豊かな収穫を祈った。
【例句】
餅花や柳はみどりはなの春
西鶴「桜川」
餅花や昔ながらの箱障子
抱一「屠龍之枝」
餅花やもつれしままに静まれる
松本たかし「松本たかし句集」
餅花の小判動かず国の春
正岡子規「子規句集」
餅花や今戸の猫にささげばや
芥川龍之介「澄江堂句集」
しだれつつ末の末まで餅の花
長谷川櫂「富士」