秋深し(あきふかし) 晩秋
【子季語】
秋闌、秋闌く、秋更く、秋深む、深秋
【解説】
秋の深まるころ、季節としては晩秋(十月)、もの淋しさの漂うころのことをいうが、多分に心理的な言葉でもある。
【来歴】
『毛吹草』(正保2年、1645年)に所出。
【文学での言及】
秋深みよそにのみきく白露のたが言の葉にかかるなるらん 平伊望朝臣女『後撰集』
秋ふけぬなけや霜夜のきりぎりすややかげ寒し蓬生の月 後鳥羽院『新古今集』
秋ふかき淡路の島のありあけにかたぶく月をおくる浦風 慈円『新古今集』
【例句】
秋深き隣は何をする人ぞ
芭蕉「笈日記」
城外に更け行く秋や寒山寺
蕪村「落日庵日記」
彼一語我一語秋深みかも
高浜虚子 「六百五十句」
秋深き波郷の椅子に座りけり
長谷川櫂「虚空」