【子季語】
さいら、初さんま、秋刀魚網
【解説】
名のごとく形が刀に似て細長く体長は三十センチほどになる。背は濃い藍青色、腹は銀白色で秋を代表する魚である。食餌と産卵のため北方より南下し十月には房総沖まで達する。脂肪が多く塩焼きにして食べる。苦いはらわたもまたうまい。江戸時代には季語とされておらず、【例句】は現代に入ってからである。
【例句】
秋刀魚荷の一番がつく残月に
小洒「杉の實」
道玄坂さんま出るころの夕空ぞ
久米三汀「返り花」
夕空の土星に秋刀魚焼く匂ひ
川端茅舎「川端茅舎句集」
風の日や風吹きうさぶ秋刀魚の値
石田波郷「雨覆」
飛びこんで炎の中に秋刀魚あり
長谷川櫂「新年」