きりぎりす 初秋
【子季語】
ぎす、機織、機織虫
【解説】
畳んだ翅の背面は褐色、側面は褐色班の多い緑色。雄は「ちょんぎいす」と鳴くことから名付けられたものか。野原などに多い。コオロギの古称。はたおりともいう。
【例句】
古城や茨くなるきりぎりす
鬼貫「鬼貫句選」
むざんやな甲の下のきりぎりす
芭蕉「奥の細道」
白髪ぬく枕の下やきりぎりす
芭蕉「泊船集」
淋しさや釘にかけたるきりぎりす
芭蕉「草庵集」
朝な朝な手習ひすゝむきりぎりす
芭蕉「入日記」
猪の床にも入るやきりぎりす
芭蕉「蕉翁句集」
常燈や壁あたたかにきりぎりす
嵐雪「其角」
きりぎりす啼や出立の膳の下
丈草「菊の道」
きりぎりすなくや夜寒の芋俵
許六「正風彦根躰」
月の夜や石に出て啼くきりぎりす
千代女「千代尼句集」
きりぎりす鳴き止みて飛ぶ音すなり
白雄「白雄句集」
泥濘におどろが影やきりぎりす
芝不器男「不器男句集」