柚子(ゆず)晩秋
【解説】
蜜柑より粗野であるが、独特の香りと美しい黄色の皮が、昔から料理に欠かせない薬味として愛されてきた。その芳香や色合いがもたらす食欲増進効果に加え、風邪の予防や疲労回復に効果があるとされる。
【科学的見解】
ユズは、ミカン科ミカン属の常緑小高木で、中国原産とされている。日本では、奈良時代から栽培されているそうで、香りが良いために現在では日本各地に普及し、調味料やお菓子等に利用されている。枝には長い棘を持ち、葉の葉柄には翼が発達するのも特徴である。果実の表面には凹凸があり、直径七センチメートル程の大きさとなる。(藤吉正明記)
【例句】
子籠の柚の葉にのりし匂ひ哉
其角「五元集拾遺」
柚の色に心もとりぬ魚の店
多代女「晴霞句集」
精進日や厨きよらに柚の匂ひ
梧堂「親類題発句集」
荒壁や柚子に梯子す武者屋敷
正岡子規「子規全集」
古家や累々として柚子黄なり
正岡子規「子規句集」
騒然と柚の香放てば甲斐の国
飯田龍太「春の道」
柚子打の出てゐる愛宕日和かな
長谷川櫂「果実」