栗(くり)晩秋
【子季語】
毬栗、笑栗、落栗、一つ栗、三つ栗、丹波栗、山栗、柴栗、ささ栗、虚栗、栗山、栗林
【解説】
ブナ科。密生したとげの毬の中で実が生育する。山野に自生し古くからその実は食用とされてきた。六月頃に強い芳香を持つ花を咲かせる。材は耐湿性、耐久性にすぐれ家の土台枕木杭木などに用いられてきた。
【科学的見解】
栗(クリ)は、ブナ科クリ属の落葉樹木であり、北海道西部から九州までの低山で普通に見られる。在来のクリを改良し、多くの品種が作出されている。カキノキと同様に、日本の数少ない在来果樹の一つである。(藤吉正明記)
【例句】
夜ル竊(ひそか)ニ虫は月下の栗を穿ツ
芭蕉「東日記」
古寺や栗をいけたる椽の下
鬼貫「鬼貫句選」
山川や梢に毬毛は有ながら
其角「きれきれ」
栗備ふ恵心の作の弥陀仏
蕪村「蕪村句集」
栗拾ひねんねんころり言ひながら
一茶「九番日記」
毬栗の蓑にとどまるあらしかな
白雄「白雄句集」
毬栗に鼠の忍ぶ妻戸かな
召波「春泥発句集」