楓(かえで、かへで)晩秋
【子季語】
かへるで、槭樹、錦草、山紅葉、かへで紅葉
【解説】
楓は色づく樹々の中で特に美しく代表的なもの。その葉の形が蛙の手に似ていることから古くは「かえるで」とも。秋もさることながら春の緑も美しい。
【科学的見解】
楓は、カエデ科カエデ属に属する植物の総称で、日本の在来種としては約二十六種が知られている。代表的な種としては、イロハモミジ、オオモミジ、ハウチワカエデ、イタヤカエデ、ウリハダカエデなどがある。イロハモミジは、本州から九州の低山で普通に見られる種である。花期は四月から五月で、果実は七月から九月に熟し、その後葉は赤く紅葉する。その他、楓は多数の園芸品種が作出され、公園や庭などに植栽されている。(藤吉正明記)
【例句】
楓橋は知らず眠さは詩の心
支考「東西夜話」
紅楓深し南し西す水の隈
几菫「井華集」
沼楓色さす水の古りにけり
臼田亜浪「山光」