寒し(さむし)三冬
【子季語】
寒さ、寒気、寒威、寒冷、寒九
【解説】
体感で寒く感じること、と同時に感覚的に寒く感じることもいう。心理的に身がすくむような場合にも用いる。
【例句】
ごを焼て手拭あぶる寒さ哉
芭蕉「笈日記」
寒けれど二人寝る夜ぞ頼もしき
芭蕉「真蹟自画賛」
袖の色よごれて寒しこいねずみ
芭蕉「蕉翁句集」
人々をしぐれよ宿は寒くとも
芭蕉「蕉翁全伝」
塩鯛の歯ぐきも寒し魚の店
芭蕉「薦獅子集」
しかられて次の間へ出る寒さかな
支考「枯尾花」
うづくまる薬の下の寒さかな
丈草「枯尾花」
朝の日の裾にとゞかぬ寒さかな
千代女「千代女尼句集」
薪舟の関宿下る寒さかな
正岡子規「寒山落木」
鞍とれば寒き姿や馬の尻
河東碧梧堂桐「春夏秋冬」
さむきわが影とゆき逢ふ街の角
加藤楸邨「寒雷」
しんしんと寒さがたのし歩みゆく
星野立子「立子句集」
水のんで湖国の寒さひろがりぬ
森澄雄「浮鷗」
藍甕の藍をうかがふ寒さかな
長谷川櫂「松島」