寒卵(かんたまご)三冬
【子季語】
寒玉子
【解説】
寒中の鶏卵。寒の卵は滋養があると言われる。割ると黄身が盛り上がりいかにもうまそう。これを食べればじきに春がやってくるような気になる。食べ物は何でも命をいただくものだが、寒卵はことにその感が強い。
【例句】
苞にする十の命や寒鶏卵(かんたまご)
太祗「太祗句集後篇」
寒卵かゝらじとする輪島箸
前田普羅「普羅句集」
朝の日の鶏舎にあまねし寒玉子
星野立子「春雷」
寒卵薔薇色させる朝ありぬ
石田波郷「鶴の眼」
ほのと影しあうて二つ寒卵
長谷川櫂「蓬莱」