寒鴉(かんがらす)晩冬
【子季語】
寒鴉(かんあ)、冬鴉
【解説】
寒中に見る鴉をいう。ところどころ雪のある冬田の中を、鴉が餌を求めて歩く。一、二羽で現れることが多く、なんとなく哀れで親しみがわく。餌の無き、厳しい冬を生き抜く姿に惹かれるものがある。
【例句】
寒烏かはいがられてとられけり
一茶「九番日記」
貧かこつ隣同士の寒鴉
正岡子規「子規句集」
木の如く凍てし足よな寒鴉
富田木歩「定本木歩句集」
寒鴉己が影の上におりたちぬ
芝不器男「不器男句集」
松林にまた朋追へり寒鴉
原石鼎「花影」
原爆図唖々と口あく寒鴉
加藤楸邨「まぼろしの鹿」