青蛙(あおがえる、あをがへる)三夏
【子季語】
森青蛙
【解説】
カエル目アオガエル科の両生類のうち一般に表面が緑色をした蛙 の総称。本州、四国、九州の丘陵や平野の水辺に棲息。体長四~ 八センチとやや大きい。正確には雨蛙とは別種であるが、多くの 場合に混同される。
【科学的見解】
本州から九州までの温帯地域において、青蛙と名が付くカエル類は、アオガエル科のモリアオガエルとシュレーゲルアオガエルの二種が存在する。両者ともに基本的には全身緑色をしたカエル類であるが、モリアオガエルの方は時折体にまだら模様(斑紋)が入る個体が存在する。モリアオガエルは、森林性のカエル類で、本州の日本海側を中心に分布しており、丘陵地から山地の池や湖等の止水性水辺の存在する森林内を生息環境としている。一方、シュレーゲルアオガエルは、草原性の傾向が強く、平野から丘陵地までの森林が接する水田や池等の水辺環境を利用し、本州以外の四国や九州にも分布している。両者ともに泡状の卵塊を産卵するが、モリアオガエルは水面にせり出した樹上に産み付けるのに対して、シュレーゲルアオガエルは水辺に接する地上に産み付けるところが異なる点である。ちなみに、シュレーゲルアオガエルの和名については、江戸時代に博物学者シーボルトが日本から本種の標本を持ち帰り、その標本を研究したオランダの動物学者ヘルマン・シュレーゲルに由来している。これら二種と似ている種としては、ニホンアマガエルが挙げられるが、アオガエル二種は鼻先が尖っているのに対し、ニホンアマガエルは鼻先に丸みがあり、かつ鼻先から眼の横の鼓膜にかけて黒い筋が入るため、その点で容易に区別することができる。沖縄等の亜熱帯地域においては、アマミアオガエル、オキナワアオガエル、ヤエヤマアオガエル等の種も存在する。(藤吉正明記)
【例句】
梢から立小便や青がへる
一茶「八番日記」
青蛙おのれもペンキぬりたてか
芥川龍之介「我鬼句集」
青蛙ぱつちり金の瞼かな
川端茅舍「華厳」
