烏瓜(からすうり)晩秋
【子季語】
王瓜、王章
【解説】
ウリ科の多年草。山野に自生する蔓草。夏に白いレースのような 花を咲かせ秋に実をつける。実は卵形で、縞のある緑色から熟し て赤や黄に色づく。
【科学的見解】
カラスウリは、ウリ科のつる性多年草で、本州東北以南から沖縄までの山野に普通に生育している。若い果実は縞模様となるが、成熟すると朱色から紅色の鮮やかな実となる。種子は、小槌または蟷螂の頭のような形をしている。また、冬になると根が塊状になるところも特徴の一つで、果実とともに生薬として利用されてきた。(藤吉正明記)
【例句】
竹藪に人音しけり烏瓜
惟然「惟然坊句集」
まだき冬をもとつ葉もなしからす瓜
蕪村「夜半叟句集」
くれなゐもかくてはさびし烏瓜
蓼太「蓼太句集初編」
溝川や水に引かるる烏瓜
一茶「文政九年句帖
行く秋のふらさがりけり烏瓜
正岡子規「季語別子規俳句集」
夕日して垣に照合ふ烏瓜
村上鬼城「鬼城句集」
枯れきつて中の虚ろや烏瓜
長谷川櫂「果実」