蟻地獄(ありじごく、ありぢごく)三夏
【子季語】
擂鉢虫、あとずさり、あとさり虫
【解説】
うすばかげろうの幼虫である。うすばかげろうは細い砂のすり鉢状の穴を巣として、その穴の奥にひそんでいる。その穴に蟻が落ち込めば、砂のため這い出すことができず、蟻はその体液を吸いとられる。
【例句】
松の雨ついついと吸ひ蟻地獄
高浜虚子 「五百五十句」
蟻地獄見て光陰をすごしけり
川端茅舎「川端茅舎句集」
蟻地獄在り山中の暦日に
松本たかし「野守」
蟻地獄ほつりとありてまたありぬ
日野草城「昨日の花」
蟻地獄均されてまた新しく
長谷川櫂「初雁」