樒の花(しきみのはな)晩春
【子季語】
花樒、かうしばの花
【解説】
山中に多く自生するモクレン科の常緑小喬木。四月頃、葉の付け 根に芳香のある淡黄の花をつけ、秋には星形の実を結ぶ。仏や墓 に供えたり、木は抹香や数珠の材となるなど仏事と関係が深い。
【科学的見解】
シキミは、マツブサ科(旧モクレン科)シキミ属の常緑木で、東北南部から琉球までの山林中に自生する。墓地周辺によく植栽されている。同属のトウシキミは、八角と呼ばれ、有名な香辛料として知られている。シキミの花は、春に開花し、複数の黄緑色の花弁を持つ両性花を形成する。強い芳香を持つのも特徴の一つである。果実には、有毒成分アニサチンが含まれているため、食用利用には適さない。(藤吉正明記)
【例句】
山住も樒の花をみる日かな
雲舎「新類題発句集」