蛇穴を出づ(へびあなをいづ)仲春
【子季語】
蛇穴を出る、蛇出づ
【解説】
地中で冬眠していた蛇は三月下旬から四月頃、地上に姿をみせる。 東北以北や山地ではそれよりおくれる。一つの穴に多くの蛇が一 塊になっていることもある。啓蟄に関連した題目として使われる 俳味あふれる季語である。
【例句】
けつかうな御世とや蛇も穴を出る
一茶「九番日記」
穴を出て古石垣の蛇細し
正岡子規「寒山落木」
穴を出る蛇を見て居る鴉かな
高浜虚子「五百句」
蛇穴を出でて石垣の春の水
河東碧梧桐「碧梧桐句集」
蝮出て野に桃色の花ばかり
長谷川櫂「天球」