守宮(やもり)三夏
【子季語】
屋守、壁虎
【解説】
人家やその周辺の林などに生息する爬虫類。全長五~六センチで灰褐色。夜行性で昆虫を捕食する。足の指の表面が吸盤状になっていて、これによって壁や天井、窓などをはい回ることができる。
【科学的見解】
守宮は、ヤモリ科に属する爬虫類であり、トカゲ類が昼行性に対して、ヤモリ類は夜行性であり、指裏の鱗(指下板)を使い天井や垂直面を移動できるところが大きな特徴である。指裏の鱗には、カギ状の細かい毛が密に生えていて、この毛と壁面間に生じる分子間力で身を支えている。分子間力とは、分子間にはたらく弱い引力のことであり、ファンデスワールス力とも呼ばれている。日本に生息するヤモリ類は意外と種類が多く、西日本から南西諸島を中心に十四種が分布している。一般的に広く知られている種としてはニホンヤモリが挙げられ、本種は北海道から九州までの地域において民家とその周辺で生息している。多くの人が想像するヤモリ類は、このニホンヤモリを指している。体色は基本的には灰色であるが、擬態のため黒褐色のまだら模様になる場合もある。肉食性で、外灯や民家の光に集まる昆虫類を主食にしている。産卵時期は五月から七月であり、三個程度の卵を石や木の隙間に産み付ける。ニホンヤモリ以外の種としては、中国・四国地方の瀬戸内沿岸にタワヤモリ、九州東シナ海沿岸にニシヤモリ、九州南部沿岸にヤクヤモリ、九州南部から南西諸島にミナミヤモリ、南西諸島にホオグロヤモリ等が知られている。日本に分布するほとんどのヤモリ類は鳴かないが、南西諸島に生息するホオグロヤモリは夜になるとキョッ・キョッ・キョッ・キョッ・キョッと大きな声で連続音を発する。(藤吉正明記)
【例句】
守宮啼くやヒマラヤ杉の深き燈に
渡辺水巴「水巴句集」
【井守と守宮の違い】
腹が赤い方がイモリで、全体が薄茶色のがヤモリである。イモリの腹の赤色は毒を持っている事を知らせるための警戒色である。
生息場所については、イモリはカエルと同じ両生類で水中や陸に棲む、ヤモリは爬虫類で陸に住む。
