鵯(ひよどり)晩秋
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【子季語】
鵯、ひえどり、白頭鳥
【解説】
ヒヨドリ科。秋群れになって山から里に下りてくる。南天や梅もどきなどの実を食べ、ひいよひいよとやかましいくらいに鳴く。
【科学的見解】
ヒヨドリは、ヒヨドリ科の野鳥で、日本全国に留鳥として生息している。しかし、冬期には暖地に移動するものも多いとされており、十月から十一月頃には各地で移動する大群が観察されている。生息環境は、低地から山地の森林内や住宅地及び都市部の公園、庭先等、樹木がある環境を好んでいる。特に、常緑性の広葉樹林には個体数が多い。秋になると、低木から高木までの樹木の果実を積極的に採食するため、植物の種子散布にはかなり貢献している。また、冬期には地上に降り、柔らかい草の葉(キャベツやボタン等)も食すことが観察されている。(藤吉正明記)
【例句】
鵯もとまりまどふか風の色
惟然「後れ馳」
鵯のこぼし去りぬる実のあかき
蕪村「蕪村遺稿」
鵯の花吸ひに来る夜明けかな
抱一「屠龍之技」