雨蛙(あまがえる、あまがへる)三夏
【子季語】
枝蛙
【解説】
体長四センチくらいの小さな蛙で、愛らしく目立つ。雨が降りそうになると、大きな声で鳴くのでその名がついたらしい。体の色は緑から茶色に変わる。水かきは後足にだけある。
【科学的見解】
雨蛙の標準和名は、ニホンアマガエルとされており、同じ緑色の体色をしたアオガエル科のモリアオガエルやシュレーゲルアオガエルとは異なり、アマガエル科に分類されている。本種は、北海道から九州屋久島まで広域的に分布しており、都市部から平野や丘陵地・山地の田畑等まで水辺環境を生息場所としている。成体は、グエッ・グエッ・グエッ・グエッ・グエッと連続的に鳴き、夜間初夏の水田では複数の個体で共鳴している。繁殖期は地域により異なるが、三月から九月までと他種に比べて長い。本種の卵塊は透明なゼリー状であり、水田の場合それを数回に分けてイネの根元付近に産み付けていく。幼生は、一ヶ月程で変態し、上陸していく。昼間は、指先の吸盤を器用に使い、草や樹上の葉に付着して休息している。野生環境での寿命は、三年から五年とされているが、飼育環境下では五年から十年程生きることが知られている。体色は基本的に全身緑色であるが、稀に色素が欠如した白いアルビノ個体や色素欠乏変異個体として水色をした個体が発見され話題になる。沖縄等の亜熱帯地域において、本種は存在していないが、奄美大島から沖縄島にかけて別種である細身のハロウエルアマガエルが分布している。(藤吉正明記)
【例句】
村雨に出づるや須磨のあま蛙
信徳「鸚鵡集」
雨蛙芭蕉にのりてそよぎけり
其角「句兄弟」
火を打てば軒に鳴合ふ雨蛙
丈草「渡鳥集」
鳴いて知りぬ石蕗の若葉の雨蛙
素丸「素丸発句集」
