銀杏(ぎんなん)晩秋
【子季語】
銀杏の実
【解説】
銀杏(いちょう)が黄葉する頃、雌の株に黄色く熟す丸い実。落ちて臭気を発し、触れるとかぶれることがある。果肉の中に堅い種子があり、これを取り出して食用とする。
【科学的見解】
銀杏の標準和名は、イチョウである。イチョウは、イチョウ科イチョウ属一種のみが知られており、古代より姿形が変化していないため、生きた化石として知られている。その果実や種子に対して、銀杏という言葉が使われている。秋になると人ばかりでなく、タヌキは好んでイチョウの果実を食す。その後、種子は消化しきれないため、タヌキの糞には大量の種子が混じっており、それを縄張り範囲の意味を込めてか、目立つ場所にするために翌春まとまってイチョウの芽生えが見られることがある。(藤吉正明記)
【例句】
青々と池持つ寺や銀杏の実
原石鼎「原石鼎全句集」
寺の井に竹簀の蓋や銀杏の実
原石鼎「原石鼎全句集」
子等に落ちて黄なる歓喜や銀杏の実
原石鼎「原石鼎全句集」