鯵刺(あじさし、あぢさし)三夏
【子季語】
鮎刺、鮎鷹
【解説】
カモメ科アジサシ亜科に属する海鳥の総称。暖熱帯域に主に分布するが、南極圏にすむものも。飛翔力の強い長い翼、切れ込んだ尾、先細の嘴を持ち、地上や海面に降りることはめったにない。上空から海面近くの魚を狙い、急降下して刺すようにすばやく捕らえる。これが名前の由来。
【科学的見解】
アジサシ類は、カモメ科の鳥類で、日本では約二十種が知られている。そのうち日本で繁殖しているのは八種で、多くは南西諸島の島嶼で営巣をしている。九州以北で繁殖しているのは、コアジサシとアジサシである。アジサシは、主に旅鳥として海岸や河口に渡来し、コアジサシの繁殖地に交じって、営巣する場合があるとのことである。コアジサシは、夏鳥として日本に渡来し、本州以南で繁殖する。営巣場所は、海岸や河口付近の中州などの砂礫地を利用する。本種は、河口付近で小魚等を捕食し、二個体から三個体の雛を育てる。(藤吉正明記)