羚羊(かもしか)三冬
【子季語】
かもしし、氈鹿、青鹿、寒立
【解説】
日本全土の山岳に棲息する体長一メートルほどの鹿。暗褐色の毛を持つ。厳冬期同じ時刻,同じ場所に現れじっとしているようなこともある。
【科学的見解】
カモシカ(ニホンカモシカ)は、ウシ目(偶蹄目)ウシ科の哺乳類で、九州と四国の一部の地域個体群に加えて東北から近畿までの地域を中心に低山から亜高山帯の森林に生息している。しかしながら、九州の個体群は近年確認されていないことから絶滅した可能性が高いとされている。北海道と沖縄には生息していない。
生息環境としては、ミズナラやブナなどの落葉広葉樹林とシラビソやコメツガなどの針葉樹林、またはそれらの混交林を好み、草や木の葉及びササ類の葉を採食している。交尾期は秋であり、翌年初夏に出産する。通常は一仔を出産し、約一年間母親と共に生活する。昼夜問わず活動する。糞は、シカと同様の長さ一センチメートルほどの俵型をしているが、まき散らすことなく決まったところにため糞をする。眼の下にある眼下腺から匂いのある分泌液を出し、木などに擦り付けてマーキング(縄張り主張)を行う。本種は、国の天然記念物に指定されている。(藤吉正明記)