熊穴に入る(くまあなにいる)初冬
【解説】
熊は雪が積もる頃から春彼岸の雪解けの頃まで、木の穴や洞窟で冬眠に入る。しかし完全な冬眠ではなく、蓄積した脂肪分などの栄養を費やしつつ寝て過ごす。メスはこの時期に子を産んで、育てる。
【科学的見解】
日本に生息するクマ類はニホンツキノワグマとエゾヒグマである。共にネコ目(食肉目)クマ科の哺乳類であり、大陸に生息するツキノワグマとヒグマの亜種とされている。
秋が深まると、ニホンツキノワグマは栄養価の高いドングリなどの堅果やヤマブドウなどの液果などを、エゾヒグマはそれらの果実に加え動物質もよく食べるようになる。寒さが厳しくなると、大木根元の樹洞や土穴の中で越冬する。哺乳類の中には冬の時期に体温を下げ、生理活性を低下させることで冬眠状態になる種も存在しているが、両亜種の場合は巣穴の中でも平常体温より少し低い体温までしか低下させないため、冬の間でも目が覚めやすく、個体や環境条件によっては活動する場合がある。そのため、両亜種の冬越しは「冬眠」という言葉より、「冬ごもり」という言葉が使われる場合が多い。(藤吉正明記)