壺焼(つぼやき)三春
【子季語】
焼栄螺、栄螺の壺焼
【解説】
栄螺に調味料を加え、貝殻のまま火にかけて焼いたものをいう。現在は、生身を殻から抜き取って細かく刻み、かまぼこや三つ葉などと一緒に元の殻におさめ、炭火で焼いたものが多い。磯の香りがして、昔なつかしい味がする。
【例句】
壺焼の壺傾きて火の崩れ
内藤鳴雪「鳴雪俳句鈔」
壺焼の松の葉焚いて遊行道
岡本癖三酔「癖三酔句集」
大海に遠く壺焼煮えたてり
嶋田靑峰「靑峰集」
花人を招く朱盆や焼蠑螺
長谷川零餘子「雜草」
壺焼や炭火に並ぶ人の顔
篠原温亭「温亭句集」
壺焼やいの一番の隅の客
石田波郷「酒中花」