【子季語】
琵琶魚、華臍魚、老婆魚、綬魚、鮟鱇の吊るし切り
【解説】
愛嬌のある大きな頭、大きな口をもつ深海魚である。背びれが変化した房状の鰭をひらひらさせ、グロテスクなその口で小魚を呑み込む。ぬめりのある体に鱗はない。鍋物に最適。特に冬がおいしい。
【例句】
鮟鱇をふりさけ見れば厨かな
其角「五元集拾遺」
鮟鱇の口あけて居る霰かな
正岡子規「子規全集」
鮟鱇のさかさまに日は闌けにけり
田喜庵護物「発句題叢」
鮟鱇の智恵にもおとる渡世かな
大原其戎「俳諧明倫雑誌」
鮟鱇の骨まで凍ててぶちきらる
加藤楸邨「起伏」