梟(ふくろう、ふくろふ)三冬
【子季語】
ふくろ、母食鳥、しまふくろう、しろふくろう
【解説】
フクロウ科の猛禽。夜間活動し、野鼠や昆虫などを捕食する。ミミズクとは同じ仲間で、頭部に突き出た耳のようなものがあるものをミミズクといい、ないものをフクロウと呼んでいる。
【科学的見解】
フクロウは、フクロウ科の夜行性の鳥類で、北海道から九州までの地域に留鳥として生息している。丘陵地や山地の山林で生活し、大木にできた大きな樹洞で営巣する。肉食性の鳥類で、主にネズミ類を捕食し、単独もしくはつがいで過ごしている。近縁種としては、夏鳥や冬鳥として確認されるコミミズクやトラフズクが知られている。本種は体長が約五十センチメートルと日本のフクロウ類の中で大型の種であるが、北海道にはさらに体長が大きくなるシマフクロウが生息している。(藤吉正明記)
【例句】
梟よ松なき市の夕あらし
其角「五元集」
梟の来ぬ夜も長し猿の声
北枝「小弓俳諧集」
梟や笹の葉光る隣りの火
蝶夢「草根発句集」
梟のむくむく氷る支度かな
一茶「七番日記」
梟をなぶるや寺の昼狐
正岡子規「新俳句」
梟の眼に冬の日午なり
正岡子規「子規句集」
梟淋し人の如くに瞑る時
原石鼎「花影」
梟や干葉で足蒸す夜頃なり
富田木歩「定本木歩句集」
梟やたけき皇后の夜半の御所
竹下しづの女「同人句集」
梟が来ては古戸に目をつける
広江八重桜「筑摩文学全集」
ふくろふに真紅の手毬つかれをり
加藤楸邨「怒濤」